SolitOUD

7コース13弦ウード&カマンチェと過ごす穏やかな日常

私のウードについて

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使用木材

 ボディ:ウェンジ+メイプル(装飾)
 ペグ:ローズウッド
 ナット:ボーン
 ブリッジ:エボニー
 表面板:イングルマンスプルース 5Aグレード
 指板:エボニー
 仕上げ:フレンチポリッシュ(表面板は無塗装)

 

 楽器の素材としてのウェンジはブラジリアンローズウッドに近い音色を持つそうです(参照元)。ローズウッドと言えばくっきりとした芯のあるサウンドというイメージがあるのですが、私のウードからはそのような硬さは感じられません。

 どちらかと言えば優しく穏やかな明るさを持ったこの音色は、表面板の影響が強いのかもしれません。検索してみるとイングルマンスプルースは「柔らかく繊細な音」との意見が多く見られます。

 

参考までにシンプルな音階のみですが録音してみました。
"Hijaz (D E♭ F# G A B♭ C D)", "Bayati (D Ehalf♭ F G A B♭ C D)", "F major"
調弦は下から DGADGCF、音の加工は何もしていません。

 

 

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 フレンチポリッシュとはシェラック塗装のタンポ塗りのことですが、どうやら部位によって被膜の厚さを変えているようなのです。ペグボックスの塗装は厚めに、逆にボディ背面は極限まで薄くしているであろうことが手触りやツヤ感の違いからわかります。

 全体的に鳴りの良さを重視した設計になっているようです。(その分大変デリケートで丁寧な取り扱いが必要です。一度、手を洗いハンドクリームを塗ってそう間をおかないうちに表面板に触れてしまい、僅かにクリームの油脂分が染みてしまった箇所があります反省)

 

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サイズ

 弦長:585mm、7コース
 指板幅(ナット):43mm
 指板幅(ボディとの接合部):60mm
 ボディ幅(最大部):約360mm
 ボディ深さ(最深部):約190mm

 

 イランの製作者によるウードですが、規格としてはトルコウードに似ています。(弦長、サウンドホールの形状、薄くて無塗装の表面板等。)このタイプの表面板の特徴は抜けの良い明るい高音が得られることです。言い換えると「渋さ」こそがウードの魅力だと感じる方はアラブウードの方が合うでしょう。

 弦長は短くても7コースのためネックが太く、ボディも平均より大きいようで正直弾きやすいとは全く言えません。左手親指は常にフックのように曲げてネックにかけているのが正しい弾き方ですが、指を伸ばし気味にただ添えるだけになりがちです。これは7コースを愛用しているプロの方でも見られますから仕方がないことのようです。

 もしウードを弾く目的が地域を問わず伝統的な音楽やタクシーム(即興)のためだという方は迷わず6コースのものを選んでください。7コースでは見た目にも美しい理想的な奏法をそのまま再現することが非常に難しくなります。

 

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入手先他

 製作者:Masoud Agha Mohammadi 【イラン】
 販売者:Oriental Instrument 【オランダにあるイラン楽器専門店】

 

 サウンドホールに彫られているのは製作者のお名前(ペルシャ語)だそうです。この方によるウードはとりわけ反響、共鳴音が美しいのです。上記リンクの試奏動画でもあまり音数を詰め込まずに響きを活かすような弾き方をされている方が多いですね。

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