SolitOUD

7コース13弦ウード&カマンチェと過ごす穏やかな日常

ウードの弦の張り方

 ウードの各弦をどのペグに通すのかというのがちょっと独特なので、弦交換の手順とともにまとめてみました。

 

アラブウード、トルコウードの場合

 まずはこちら、オーソドックスな6コースアラブウードのペグボックスの写真です。アルファベットがなるべく被らないよう調律は CFADgc ということにしました。大文字が巻弦、小文字がプレーンナイロン弦です。

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 慣れないとどこがどれかわからなくなりそうですが、この順序だと洗練された美しい見た目になるのです。ペグボックスの二等辺三角形の中に、巻弦による小さな二等辺三角形があるようにも見えますよね。

 使わないペグが1つ余分にあるのは、ベースを犠牲にして高音側にffコースを加えるハイ・チューニング(Iraqi Tuning)を採用する人もいるからです。その際は通常全コース複弦になります。

 トルコウードも音は違いますが、ベース弦が一番遠くに結ばれる同様の順序です。チューニングについてはこちらのサイトに詳しく出ています:STRINGING AND TUNINGS / Oud Cafe (英語)

 しかしアラブウードで7コースある場合の張り方がよくわかりません。7コース愛用者と話す機会があったのだから聞いておけばよかった

 

ペルシャウードの場合

 しかしイラン製のウードの場合は全く違います。こちらは私のウードで7コースありますが、6コースでも同様の張り順になります。

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 調弦時にわかりやすいのは大変良いのですが、見た目がイマイチ。。

 それに左側のAからF辺り、巻弦同士が歯車のように噛み合ってしまうことがあるのが気になります。ペグが緩みがちになる低湿度の時、Aを緩めたらついでにFもぐるんと巻き戻ったりすることがありました。その点アラブウード、トルコウードの順番はよく考えられていますよね。

 イランのウードでこれ以外の張り方をしている写真や動画は見たことがありません。万が一不具合が出たら面倒なので私もこれ以外の順序を試すことはしないでおくつもりです。

 

弦交換の手順

 弦を替える時の詳しい手順はこちらの動画がわかりやすいです。トルコ語ですが簡単な英語の字幕がついているのでわかりやすいと思います。

 

1. ペグを緩めて弦を外す。

2. 必要ならペグを外してペグボックスの清掃(筆などを使う)

 この時、外したペグがどれがどこのものかわからなくならないよう要注意!弦を通す穴の大きさがそれぞれ違います。ついでにペグコンポジションを塗っておくとペグの安定度が増します。ペグコンポジションについては解説できるほど詳しくはないので、気になる方は検索してみてください。

3. 指板や表面板の清掃 

 指板は時々楽器ケア用のオイルで磨いていますが、染め木材の場合色落ちする可能性もあるので自己責任で。表面板は軽くホコリを払う程度です。

4. 新しい弦を取り出し、ブリッジに結ぶ

 ペルシャウードの場合、弦を張る順序は ff→C→cc→FF のように、両端から交互に内側に向かうように行います。ffから低音に向かって張っていってしまうとペグボックスが他の弦で埋まってしまい最後の方の弦を通すのが難しくなってしまうからです。

 ブリッジに弦を通したら、私は高音2コース(ffcc)だけ4回ねじり、それ以後は3回だけねじっています。ベースは写真の通りです。

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 …今確認したら右端の弦だけなぜか5回巻きつけてしまっていました。(笑)

5. 弦の先端を、結ぶペグより2,3ペグ分先の位置でカットする

 私のウードで言うなら f1 に結ぶ弦は c2 辺りの位置でカットします。巻弦は固定しやすいので、 C弦なら F1 位で切っています。

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6. 弦の先端をペグ穴に通して巻いていく

 私は ff だけは細くて抜けやすいので上の動画のように穴に2回通すようにして固定させますが、c以降はただ穴に差し込んで回すだけで大丈夫です。

7. 全コース張ったらチューニング

 以上です。

 

 低湿度の時は木材が縮み、高湿度だと膨張するので、天候によってペグの回しやすさが全く変わってきます。今からの蒸し暑くなる季節、きつくて動かないなと思ったらそれ以上回さずに、面倒でも一旦緩めて少しペグを外側に逃してから締め直すことをおすすめします。無理に回すとペグが折れます(という話を聞いています)。

 高湿度で調節したペグは次に低湿度になった時にすっかり緩んで外れていることもあるのですが、木ペグとはそういうものだと思っておおらかに付き合っていくくらいの気持ちでいましょう。10にも満たない程度の湿度差でもはっきりわかるほどの違いがあり、「ああ、木材も呼吸しているんだなぁ」なんて実感してしまうのです。