こちらが私のところへ来たカマンチェです。クラウン(ヘッドの壺型装飾パーツ)がありませんが、理由や入手経緯などは前回の記事をご参照ください。
使用素材
ボディ:ウォルナット+メイプル
ヘッド、ネック、ペグ:ウォルナット
指板:エボニー
皮:ラム
ブリッジ:ホワイトアッシュ
テールピース、エンドピン:ブラス
まだまだ音階すら弾けない状態ですが、とりあえず少しだけ録音してみました。調弦は下から GDAD、それぞれの弦のピチカートとオープンボウイングです。どうもピチカートでは若干音程が下がるようで、調律はボウイングの音で合わせています。
録音の中に何かギシギシした変な雑音があるのに気づかれましたか。これは弓に使われている革ベルトが軋んでいる音なんです。
馬毛の束はそのままではブラブラしている状態で、このように中指と薬指を革ベルトに乗せて自分でテンションを調節しながら弾くのです。ハイテンションで弾けばクリアで清らかな音色が、テンションをあまりかけずに弾くと空気感を含んだような笛のようにも聞こえる音になります。
しかしその調節具合もまた難しいんです。それぞれの弦により欲しい音色のための最適な力加減が全く違い、低音側の弦は笛系の音が出しやすく、高音側だとより微細な調整が求められるようでクリアな音しかまだ出せません。弓を返す時にヘロっとなったりピヨっとなったり、こんなところもまた笛に似ていて面白いんです。
開放音からメジャー音階のインターバルで薬指まで、という練習も録音しました。かすれるばかりで音が鳴らなかったり、隣接弦まで擦ってしまっていたり。音程も怪しく稚拙な内容ですが、とりあえず始めて3週間ということでご勘弁ください。(笑)
入手したのはオンラインでペルシャ音楽・楽器を教えている Rhythmitica というところで、そこのショップコーナーから購入しました。(※しかし今現在は COVID-19 によるパンデミックのため発送業務は停止中です。)
注文するとすぐに、「演奏する地域は東京ですか?そちらの気候、特に湿度はどのような具合か教えてください」と連絡がありました。天然の皮を用いた太鼓などは少しの湿度差でも多大な影響を受けるものです。湿度 40% と 60% では皮の張り(=音高)が完全に別物になってしまいます。なので、冬は乾燥しているけれど、夏には長い雨季があり(梅雨や台風も含めて)60~70% にも達するということ、そのためこちらで活動しているレク(※アラブタンバリン)奏者の話によるとぴっちりと張ったレクをオーダーしなければいけないらしいこと、等を伝えました。結果、皮をきつく張って仕上げたものを送っていただけました。
ウードやギターもあるので湿度には気をつけていますが、夏の高湿度による変化で何か気づくことがあればまた追記したいと思います。おそらく高湿度で皮がゆるいとたるんで弦高が下がり、何らかの支障が出てしまうのではないかと思います。
それにしても大変な難しさで、音階をまともに弾けるようになるのもいつになるのやら。しかし逆に開き直って「早く何か弾きたい」などという焦りもなく、そのうち何かできるようになっていればいいなぁくらいの気持ちでのんびりとボウイングしています。