SolitOUD

7コース13弦ウード&カマンチェと過ごす穏やかな日常

遠隔レッスン体験談

 私も興味のあったオンラインでの楽器レッスン、昨日初めて受けてみた感想です。
こちらの使用楽器はウードです。
先生は現在お世話になっているはせがわ音楽教室の長谷川先生です。
長谷川先生はクラシックギタリストです。

 つまり、本場中東のウード講師からウードのオンラインレッスンを受けたという話ではありません。ネットを介したレッスンってどんな感じなのか、わかりにくかったりしないのか、そんな疑問を持つ方への体験談として読んでいただければと思います。

 ウードの練習生がなぜギター教室に、といういきさつを下書きしていたらズラズラ長くなりすぎてしまってアップできていません。流れを簡潔に言うと、
・独学でギターを始めていた。(約2年)
・家から近いはせがわ音楽教室の発表会や演奏会をよく聴きに行っていた。
・しかし楽器の音色としてはウードが好きだったのでウードを購入した。
・でもアラブ音楽・アラブウード奏法は好きになり切れなかった。
・ギターで弾いていた西洋の曲をウードの音色で弾きたくて長谷川先生に相談したら受け入れてくださった。

という具合です。

 

使用機材・アプリ

 私の方は MacBook Pro (2017) と元からついているマイク、カメラ、スピーカーのみです。接続は有線にするべきなのでしょうが、ケーブルが手元になくお互い「おためし」という事でもあったので無線で始めました。先生側は外付け Web カメラやヘッドホンなど色々使用されていました。(詳細は先生のブログへ

 アプリは Zoom を使いました。さすがビジネス向けの Web 会議サービス、インターフェイスもシンプルですしなかなか良いですね。

 

レッスンの流れ

 予約した日時の少し前に先生側(ホスト)が「ミーティングルーム」を作ります。そこへ参加するための URL が生成され、メールで送られて来るのでそれをクリックして「ミーティングに参加」し、ホストが承認すればお互い繋がります。

 画像で繋がった後、こちらから「オーディオに参加する」をクリックしないと音声が繋がらないようです。(開始後しばらくこれを忘れていました、失礼しました!)

 

スピーカー?ヘッドホン?

 音声をPCのスピーカーから直出しすると、先生側からの音もこちらのマイクが拾ってしまって問題ありかなと思ったのですが、支障が出るほどの問題はないようです。ただスピーカーオフなら先生側に届く音質が改善されるとのことで、繊細な音色の付け方を聴いていただきたいとか、継続したオンラインレッスンを検討するならヘッドホンがあると良さそうです。 

 密閉型ノイズキャンセリングヘッドホンとカナル型イヤホンなら持っていますが、これらでは遮音性が良すぎて耳栓しながら弾くような感じになってしまってダメでした。レッスン用として新たに用意するなら自分の声や音も遮らない開放型のモニターヘッドホン、例えばヤマハから出ている電子ピアノ用の HPH-150 などがちょうど良いかもしれません。

 

レッスン内容は?

 まずはいつも教室で取り組んでいた Turlough OCarolan Carolans Welcome でお願いしました。これは先生との二重奏用なのですが、遠隔だと1秒前後も遅延するので合奏は無理ですね。これだけは「がんばればどうにかなる」というレベルではなかったです。

 そもそもギタリストの先生とウードの生徒がどういう内容のレッスンをしているの?と思われるかもしれません。ついでなので楽譜も載せて説明しましょう。

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 17世紀アイルランドのハープ奏者の曲です。キーはウードで弾きやすいDマイナーにして装飾を加えた状態で楽譜を作りました。ここでは奏法、装飾記号ともにペルシャウードスタイルです。2枚目は先生用のシンプルな楽譜で、コードは実際弾いたり合わせたりしながら二人で決めました。

 まずは全体を通して弾き、「悪くはないけどここでこういう傾向になりがちだから注意」という指摘を頂きました。「こういうところではこうなりやすいので(先生もギターを弾く)」「そうではなくて、こう、ゆったり(ゆったり弾く)」という具合に実例を出しながらの説明が教室でやるようにわかりやすく伝わりました。

 こちらからは装飾音に関するテクニック的な質問をすると、とても的確な答えをいただきました。具体的には「19小節目の最初、ここは左人差し指でのいわゆる下降スラーなのですが、これがピンピンした音になってしまうのでもっとアポヤンド的な音を出したいんです」などというギター脳な質問です(笑)。ここでもやはり実演を交えて説明していただき、その場で言われた通りに試してみると「こうかこうか~!」という感じで手応えが掴めました。こんな感じのレッスンです。

 

 楽器が違うので技術的な事はこの説明でどうかな?というのは教える側にもあるのかもしれません。構造や構え方など色々違いもありますが、それでも説明通りに試してみるとぐっと良くなります。やはり同じ撥弦楽器同士、良い音を出すためのポイントには大差ないみたいですね。

 これは今回のレッスンではありませんが、押弦時、隣接高音弦に指が触れないようにするには?という質問をしたことがありました。対策として左手全体をネック側に十分引き寄せることと、おすすめのエクササイズも教わりました。それを毎日少しずつ続けていたら、ウードでは大切になる「複弦を真上から均一に押さえる事」がよりしっかりできるようになってきました。

 さらに、右手の音色の深さや右肩の負担の事を考えると楽器はなるべく下方の位置で構えたいのだけれど、そうすると左手がうまく弾けなくなってしまうというジレンマがありました。このエクササイズのおかげで下げた状態でも左も問題なく弾けるようになっていることに気付きました。これは思いがけない嬉しい効果です!(ありがとうございます!)

 こちらの教室に来てからどんどん音が深く良くなっている気がするなぁと思っていたら、傍で聴いている主人からも「とてもいい音になったね」「最近すごく安定してきた」「いい先生に巡り会えて良かったね」なんて言葉が出てきました。場違いな楽器を持ち出してきて本当にすみません、という気持ちもあったのですが、先生の方もこの楽器でのレッスンを楽しんでいただけているようで良かったです。

 

自室で弾く時のリラックス感

 遠隔レッスンの話に戻すと、開始前に気になっていたことがありました。たとえ慣れている相手でも人前で弾くとどうしても緊張感が出て演奏が硬くなりがちなのが、遠隔レッスンではどうなるのか、という点です。やはり同様に緊張してしまうのか、それとも一人で弾くようにリラックスして弾けるのか

 やってみた感想は、やはり多少緊張しましたが、それでも教室よりはずっと落ち着いて弾けました。教室だと本当に目の前に先生がいてずっとこちらを注目しているのが視野の端でも見えていますが(笑)、自室だとPCの画面を見なければいつもの自分一人の世界です。とは言っても人前演奏にも慣れていかないといけないのは変わりませんけれど。

 

 それにしても本当、思った以上に普通にレッスンになる、という感じです。何でもやってみるものですね。ぜひまたお願いしたいと思います。ありがとうございました!